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2016.03.01 (Tue)

36巻妄想 コンキョなのだか蓮キョなのだか キョ視点

アカン……
ぜんぜんエロくならへんかった……


↓タスケテェー

More・・・

***

どうしよう。

どんな顔をして、敦賀さんに会えばいいんだろう。

コーンと別れた後、ものすごい数のミューズからの着信に気づき、
折り返しお詫びの電話を入れて……夕食を、敦賀さんと、ご一緒することになった。
いえ、それは確かに……もともとの予定ではあった……けど……。

(――……私の気持ちは、もともとの予定だった時とは違うんです……)

泣きたい。
部屋の中でいつまでもぐずぐずしてしまう。
用意した服は勿論、かわいいワンピースなんか大却下だった。

……待って、キョーコ、でも、そんなの大丈夫。
だって、“アレ”は、コーンに言っちゃっただけだし。
敦賀さんご本人に知られたわけじゃないし。
言ってみれば、不可抗力、行きがけの駄賃?みたいなものだし。

(――――コーン……)

日に煌めく金髪の美しさ。
青い海からあがってきた懐かしいあの人は、人魚姫のように美しかった。
見る角度によって、ブラウンからグリーンに不思議な色変わりを見せるひとみ。
記憶の中の、少年が……そのまま成長した……美貌。
すぐにそれとわかるほどに、私の中にまざまざと息づいていた、彼。
なのに、敦賀さんにそっくりな……美貌……。

私相手に拗ねてみたり、甘えてみたり、
やさしすぎるほど、やさしかったり……。
それでいて、ふとした瞬間に、けっこう乱暴だったり……

乱暴……――――?

思った瞬間、コーンとのくちづけが甦った。

あれ?私、今日だけで、ファーストキスとセカンドキスと……
もしかして、三回目のキスまで……体験してしまった……?

おそるおそる、指折り数えてみる。
何度数えても、三回。

しかも、ひとりのひと、と……。

我知らず、唇に手をあててしまう。

『二度目はないよ』

心臓がヒヤッと冷たい手で掴まれたような気がした。
……いえ!!あれは、一度目はちゃんと役柄を踏襲してたし、
二度目は…………

にどめは……。

……他人の舌で口腔内をめちゃめちゃにされるのは、
腐れ外道なショータローの嫌がらせで体験済みではあったけれど、
コーンから受けたそれは、それとはぜんぜん……違ってた。

乱暴度も、抑えつけられる、力の強さも……
首の後ろを掴まれて、見上げた時の表情も。

確かにあの顔は、敦賀さんがたまに見せる無表情にそっくりだった。

……胸が張り裂けそうに苦しくなって。
でもそれは、それは……イヤ、ばかりではなくて……。

(――――敦賀さんも、キョーコちゃんのこと、好きだよ……)

あれが、敦賀さんだとコーンは言う。
でもそんな事、信じてもいいものだろうか?
都合がよすぎたり、しないだろうか?

でも、だとしたら私は、あれは、敦賀さんに……

…………敦賀さんに……?


(わぁああぁあああぁああ!!)


思わずクッションを引き寄せて顔を埋める。
私ったら、私ったら……牛のようにそんなところを反芻するだなんて、
なんて、ふしだらで、はしたない……!!

いったい何がどうして、こんなことに……

そもそも、今日は、コーンと再会できた、奇跡のような一日で……
コーンの笑顔を見る事ができた、大切な一日で……

『キョーコちゃんと出逢えただけで、俺は……俺で生まれて来た事を、感謝する――』

そんなふうに言ってもらえたことだって、宝物みたいで。
……なのにどうして、こんなことに。

(わからない……)

わからないけれども、何がどうあっても、私はこれから、
私の気持ちをこれほどまでに掻き乱す元凶と
会わなくてはならないことだけは、決定事項なのだった……。


***


(こ……、ここなんだ……)

ミューズと共に向かった先は、つい先程までコーンと共にいた、
惨劇のレストランだった。

敦賀さんは一足先に着いて、個室で待っていらっしゃるとのことで、
処刑場にひったてられる死刑囚のような心持で、
受付を済ませたミューズとそちらに向かった。
あの子ったら自分が遅刻の原因のくせに、勝手にさっさと行っちゃうんだもの、
おかげでビジュアルの準備も……とかなんとかおっしゃってる言葉が脳内を素通りしていく。
ひらひらと色とりどりの魚が泳ぐ、アクアリウムを横目に、
用意された個室に入ると、敦賀さんが立って出迎えてくれていた。

「……やあ」

「おひっ、お…っ…ご、ご無沙汰しております!!」

90度の角度でお辞儀をすると、
ミューズになんで今堅苦しい言い方に変えたの!?と突っ込まれた。

うう……。

ちらりと上目づかいに姿をうかがう。

大きな足先から、カイン兄さんの黒づくめの服が視界に入る。
そこにその人がいる、と感じるだけで、心臓が勝手に暴走をはじめた。

会いたかった……
その姿を、見て……声を、聞きたかった……
でも、とてものこと、今の私にそのご尊顔を拝す勇気はない。
何が何だか意味がわからないほど、疾しすぎて。
私はあらためて、どれだけか敦賀さんへのウニャララな感情に
浸食されているかを思い知ってしまった。

……浸食………。

思った瞬間、コーンの唇の感触を思い出してアウアウアーとなった。

「最上さん?」

(ひぃ……っぅあぁえいぃい!!??)

死ぬ、絶対死ぬ。こんな拷問、耐えられない…。

「どうかした…?」

覗きこんでくる、黒い瞳が。

「ななな何がでございますか!?わわわわたくし何かをどうかしておられますか…!?!?」

我ながらバカみたいに狼狽えてしまう。

「何か、やましい事を隠してるみたいな顔してる」

ズッバーーーーーー
何だろう、この人は、私の心を読む、超能力者か何かなのだろうか?

「なっ、何を根拠に、そのようなっ、私は清廉潔白!!
やましい事など只の一つもございません!!!」

超ウソで、すみません、すみません…。

「…もう一度、こっちを向いて、俺の目を見て言ってごらん」

(――――もう、コーンのバカ!!)

八つ当たりの矛先はそこにしかない。
コーンがあんなこととかこんなことをしなければ、
いまここで、コーンに再会できたことを平和な気持ちで
敦賀さんに話せたのに…と思うと、歯ぎしりが止まらない。

(おかげでこの純潔を命にかえて守り抜くって約束、破っちゃったじゃない…!!)

恨みがましく心の中で毒づくと、ふいにコーンの声が脳内に甦った。

(なんでそんな約束してるの?恋人でもないくせに)
(敦賀さんってすごくズーズーしいね……)

「こーれ、遊んでないで早く座って、メニュー決めちゃいなさい」

何かお店の人と話していたミューズが戻ってきて、
そうと知らないまま助け船を出してくれる。
それで案外簡単に敦賀さんがひきさがってくれたので、
私は100歳くらい一気に老け込んだ気持ちになりながら席に着いた。


***


そういえば、あの時の敦賀さんの真意が、わからなくなっていたんだと思いだす。
『二度目はない』が、ショータローに限定されたことなのか、それとも……

あの時の状況で冷静に考えれば、あれはショータローに限定されたことに決まってる。
なのにいつの間にか私の中で『二度目はない』が『二人目はダメ』に変換されていた。

(だいたい、敦賀さんがそんなの言う方がおかしいでしょう)
(そんな、まるで束縛してるみたいな事……)

束縛してるみたいなこと……。

目の前を過る金色の髪……。
息が出来ないくらい強い力でひきよせられ、抱きすくめられた。

(――――敦賀さんも、キョーコちゃんのこと、好きだよ……)

わーーーーーーーーーーーーー!!

甦る幻聴に耳を塞いで叫びたくなるのをぐっとこらえたものの
勝手に赤くなる顔だけはどうしようもない。

「キョーコちゃん、どうしたの!?カオ真っ赤、もしかして、辛いの苦手だった!?」

ミューズが心配してくださるのに、たまたまトムヤムクンを食べていて良かったと心から感謝する。
取り繕うように切れ切れに、予想外のパンチ力だったもので、と言い訳をすると、
ミューズのご厚意で、デザートにトルコアイスを頂くことになった。

うう、なんだか、
なんだか……ゴメンナサイ……。

(ごめんなさい……)

どうしようもなく、うしろめたい……。
その、うしろめたい……と思う気持ちが、ふいにつと胸を刺した。
その理由を、心のうちに探してしまう。

(……――――でも、これは、オレからの、キス)

笑顔を取り戻したコーン。
呪いが解けた、私の大切な妖精の王子様。

再開するまでの年月を、笑顔をなくして過ごしてきた私の王子様。

二つ目のアレはともかく、呪いを解くためにした一つ目のキスと、
再会を誓ってくれた三つ目のソレは、
本来であれば、私にとって……なんら恥じるものではなく……

チラリと敦賀さんを見る。

そう、それは単純に、私がこの人に、それを、知られたくないだけで……。

(……………)

目まぐるしく動く心中に、でも残るのは、コーンの笑顔、だった。

私は、手にしていたスプーンをそっと器に置いた。

「あの……敦賀さん」

「ん?」と返事をくれる、生春巻きと野菜スティックに奮闘している私の好きな人を見つめて。

「…実は、聞いて頂きたい事が…あるのですが……」


――――私は、意を決した。


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コミクス36巻P19~28まんまで想像しねえ from豚←この豚っ
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ミューズと別れて、二人だけになり、部屋に戻る。
言いたいことはちゃんと言えて……隠してしまったことは、隠しおおせた……。
一抹の罪悪感はあるけれど、でもそれは絶対に、この人に知られてはいけない事だから……。

あとは、カインとセツになってしまうだけ……。

あと少しで、こんなに至近距離で共に過ごす日々も終わる……。

……少し、胸が痛んだ。

それでは、少々失礼します、と言いつつセツカの変身アイテムキットを持ってバスルームに籠ろうとすると、
敦賀さんが軽い感じで「そういえば……ちょうど夕方ごろ夢を見たよ?」と話しかけてきた。

(?)

見るともなくふりかえって、敦賀さんを視界に入れると……

(…………)

じわり、と何だか心がざわつくような表情で、こちらを見ている。

「……丁度ね、転寝をしていたんだ……そうしたら、キミの夢を見た」

話の転がり先がわからずに、でも妙に嫌な予感が、胸に去来する。

「…………さっき、聞かせてくれた……コーン?のお話の感じに、良く似てたよ……?」

はっ、はい!?

私は、自分が目玉お化けになるみたいに、めいっぱい目を見開いて、かの人を凝視しているのを感じた。
この人は、何を…。
何を、何を何を、言っ、言おうとし、ててて。

「正確に言うと……多分俺は……その、コーン……?の中に入ってる感じだったかな…」

どっと出る。
冷や汗と、脂汗が、どって出る。

「……それで、さっきのお話だけど……、最上さんが俺に、意図的に話さなかったこととか……――」

いつの間にか、彼は私の目の前に立っていて、
私はそれを、見上げるような格好になっていて。

「――――あるんじゃないかな……って?」

んのぉおおおぉおおぉおおぉおおぉおおおぉお!!!!

「ないですないですないですないです!!」
「全然ないですないですないですないです!!!!」

ここがさいごの決死圏のように、大声で否定しながら、
首が千切れそうなほど左右に振りたくってざりざり後ずさると、壁に背がついた。
大きな体の人は、そんな私を尻目に、どこか楽しげに、のっそり近づいてくる。

「……………」

敦賀さんは壁に手をついて、何も言わずに覗き込んできた。
私は敦賀さんから、ものすごく目を逸らす。
絶対見られない。

しかも、近い。

近すぎる。

一度それを意識して、鼓動がハネると、もうダメな感じがした。

そんな時に、コーンにされた、激しいくちづけを、思い出してしまう。

赤面が止まらない。

敦賀さんは、すうっと長い指を伸ばして、私の唇をなぞりざま、頤をとって自分の方を向かせた。

(わっ、わぁあああぁああぁあああぁあああぁああっ)

(ひぁいいぁいいいいあいあいいぃいいぉおぁいいっ)

「すっ、すみませええええええぇええん!!」

駄目だ、もうダメだ。
私は、体を捩って彼の手を振り払いながら、胸を突き破りそうな衝動のまま、
部屋を飛び出してしまった。


***


夢中で走って、気が付くと、そこはコーンと再会した浜辺だった。
見上げれば、見たことのないような、降るような星空で。

(……私、なにやってるんだろう……)

波打ち際にしゃがみ込み、足先に届きそうな白い波頭を見る。
自己嫌悪で、どうしていいかわからない。
敦賀さんが、あんなことを言い出した意味も……わからない。
……わかりたくない。

こわい。

(――――敦賀さんも、キョーコちゃんのこと、好きだよ……)

こわい。
そんなこと、知りたくないし、わかりたくない。

足元から全てが崩れて、どこともしれないどこかに
果てしなく落ちて行ってしまいそうな恐怖。
すこしでもそれを心に入れたら、今までの自分ではいられなくなりそうで。

私が捨ててきた、二度と戻りたくなかった、かつての私。
ショータローだけを見ていた、ショータローだけを求めていた、
世界の全てが……あいつだけだった、からっぽの……私。

絶対いやなのに、それなのに、同じような間違いを、私は今、犯そうとしている。
あの人の一挙一動に胸を焦がして、そんな体を脱ぎ捨てたいくらいに厭わしいのに、
同じくらいの強さで痺れるように、何かを望んでしまう自分。

好きだと思い、でも、認めたくなくて、なのに、認めさせられて。
せめて終生この思いは胸の奥に沈めて、決して表には出さない覚悟だったのに、
そんな私を私が裏切るように、もっと…を求めてしまう。
なんだろう、この、恐ろしいほどの、あらがえないほどの、強い感情は。

コーンとの再会によって、確実にひとつ深く目覚めさせられてしまった……感情は。

(コーン………)

「なに…?キョーコちゃん」

ギョッとした。
いつのまに……。
肩越しに振りかえると、月光が凝ってかたちを成したかのような美しい姿がそこにあった。

なんとなく、期待していた……かもしれない。

悲しみに飲み込まれた時には、私はいつもコーンの森に、彼に会いに行った。
会えなくなった後も、泣くときはいつも、コーンの森で彼を呼んで泣いた。
途方に暮れた今、こどものあの時に戻ってしまったみたい。

そんなふうに心情を傾けて甘えてるのが気恥ずかしくて、立てた膝に顔を埋めると
砂を踏む音がして、近づいてきたコーンが、隣に座った。

「コーンの所為だからね……」

八つ当たり。恥ずかしい。

ふと、横目で彼を見る。
なんだろう?少し、違和感があった。

(……………)

星明かりに照らされて一筋二筋靡く金髪は、間違いなくコーンのもので。
だけど………なんだか。

目が合って……この顔は、コーンだけれど、でも。

(……これ……この服)

さっきまで、敦賀さんが着ていた……カインの……?

まさか。

なぜ?

何をどう考えていいのかわからずに、バカみたいにぼうっと彼を見ていると、
彼は少しいたずらそうに片眉をあげて……苦笑した。

その顔は、コーンではなかった。

「はじめて、キミに会ったのは、父の仕事について日本に来た時」

低い声は同じだけど、その喋り方も、コーンではなかった。

「父と同じ、俳優の道を歩み始めてはいたけれど、色々な事情でうまくいっていない時だった……
すっかり行き詰まった俺の、気分転換にでもなればいいと思ったんだろうね。
俺は初めて、父の故郷に連れられて……」

「――――京都のあの森で、泣いてるキミに出会った」

どういうことか意味が分からない。
…………思考が、停止して、動かない。

「キミに出会って、キミの前で妖精の王子を演じて。
もう一度、頑張ろう……頑張れる、と思って、本国に帰って……」

「でも、現実はそんな甘くなくてね……俺はどんどん堕ちて行って、
恐ろしいほど堕ちて行って……そして、とうとう………」

(――――――――人を死なせた――――)

大切な友人だった、と彼は言った。

自分を事あるごとに虐げ、邪魔をし、進む道を閉ざそうとしてくる奴等に、
たんだん歪んでくる自分を感じていながら、止めようもなく、ある日とうとうキレてしまった。
キレた自分は、今までの憤懣を解き放つように、恐ろしいほど残忍に報復をはじめた。
友人は、報復の快感に我を失った自分を止めに来て………それで――車に。

(――――車に……)

「俺が殺したんだ」

どこどもしれないどこかを見て、夜にまぎれるように為される独白をきいているうちに
私の中で、色々なピースが勝手に嵌っていくような感じがした。

「その後、半分死んだようになった俺を見かねて、社長が再び、日本に連れてきてくれたんだ。
髪と目を染め、名を変えて……生きる場所と、意味を、ここでもう一度取り戻せ、ってね」

(………コーン……が)

「……つるがさ……」

カースタントの事故の時、目を開けたまま、魂がどこかに囚われてしまったかのように
虚空を見つめて動かなかった敦賀さん。
カイン兄妹としてふたりで過ごす日々に見かけた、敦賀さんでもカイン・ヒールでもB・Jでもない、
誰だかわからないこわい男(ひと)

……――――何かに苦しむように、自分の中の何かと戦うように。

「久遠、といいます」

彼は、私を見て、少し笑った。

え……?と思う。

「漢字では、こう書くんだ」

砂に、指で書いた文字は……

「初めて逢った時、英語的な発音で自己紹介したから、
ずっとキミにはコーンって呼ばれていたけれど、
日本語で、日本語らしい発音では、クオンというのが正解」

「久遠・ヒズリ…… クー・ヒズリは、俺の父親」

待って、待って、待ってほしい。
え……?

(俺の息子は、世界一……   )

先生……“とーさん”の声。
“とーさん”が言っていたのが、敦賀さんのことなら、そして、目の前のこの人のことなら、
あの美辞麗句の全ては、確かに真実だったのだと、納得できる。

でもそれとは別に……私は、私の脳内は、いまだかつてない情報許容量を超えて、
バカみたいになってしまっていた

(……どうして……)

そんな、きっと物凄く、大切な秘密で、魂に刻まれた痛みで、苦しみであろう……
そんな大事なことを、こんなところで、わたしなんかに。

「言ったでしょ、敦賀さんもキョーコちゃんのことを好きだよ…って」

どこか苦笑が滲んでいるのが不穏でもある……甘い声。
ギクリと心臓が跳ねる。

「……何より“敦賀さん”は、キミがそう信じてるほどの男じゃないよって、言いたかった」

(むしろ、オレは、本当のオレを知った人からは完全にヒかれてもしかたないくらいの人間で。
……そんな奴に、キミがそんなふうにいじらしくする必要はないんだって、言いたかった…。)

恐れるように、そっと、彼は大きな手のひらをのばして、私の頭に触れた。

「キミが、俺にひいてしまってもいい……それは仕方ない。
でも、キミがオレの本当を知らずに、オレによせてくれるそのかけがえない気持ちを
下等なもののように自分で踏みにじるのは、嫌だったんだ……」

「……全部ぶちまけた後でも、オレを好きでいてほしいとは言えない……でも、
オレがキミを好きでい続ける事だけは……どうか、許してほしい……」

あたたかな彼のてのひらが、かすかに震えていて。
それで私は、彼がどれだけの覚悟で、
いまこうしていてくれるのか…ということを思った。

「……なぜ……」

不思議でたまらない。
なぜ、こんな人が、私なんかを……。

さっきも言ったよ、と彼は言う。

オレはもうずいぶん長く、オレであることが苦しくてならなかった。
国際的な映画俳優と、トップモデルの間の子どもという、
他人から見たら羨まれるだろう出自は、むしろオレを周囲から孤立させ、排斥させ、苦しめた。
愛情深い両親がありながら……いや、むしろ彼らの愛情の深さを知ればこそ、
忙しい彼らには、自分の本当の苦しみを吐露することはできず……
愛情深い両親であればこそ、この出自を恨むこともできず。

長く、長く、どうしても、オレがオレとして生まれ、生きてきたことに
意味があると肯定することは出来なかった。

初めて逢ったあの森で、キミがオレに見せてくれた屈託のない笑顔で、
オレは初めて他人にあたたかなぬくもりを感じた。
悲しいことがあるたびに、オレの胸に顔を埋めて泣くキミがいじらしかった。
キミが母親に愛を求めて得られずに泣くたび、オレは自分を深く恥じた。

オレが演じる妖精の王子に、目を輝かせてくれたのも、キミだった。
そう……父に憧れ、漠然と同じ世界を目指して、意味も分からず挫折していたオレに、
演じる喜びを教えてくれたのは、キミだった。

そして……キミがいまここにいてくれなかったら、今のオレもここにない。
敦賀蓮は、久遠の過去に潰されて、もしかしたら、生きてさえいなかったかもしれない……。

そして、オレの人生が、このようでなければ、何か一つでも違っていたら、
生まれた時と処がこんなに遠いオレが、キミと出会うことはできなかったはずで……。

だから。

「……キミは、どうしてオレなの……?」

敦賀さん、
敦賀さん。

胸が苦しい。

押し上げてくる気持ちが、唇からこぼれて、嗚咽になった。
目の前が滲んで、涙があふれてくる。
泣いてしまった。

彼は、どうしていいかわからないように躊躇いながらも、私の頭を撫で続けてくれた。

(どうして……)

大好きなショーちゃんにすら見せられなかった泣き顔。
どこにもなかった、泣く場所。

誰にも望まれず、この世で一番愛してほしかった人に疎まれ…
ともすれば憎まれてさえいた、私。

幼い私にとって、この人の前だけが、安心して泣ける場所で。

……それが何故なのかなんて、私にもわからない。

でもきっと……あの時から。
泣き場所を探して彷徨った果てに出会ったあの日から。
私はきっと、この人に、繋がれていたのかもしれないと…今なら思う。

「いいの……?」

(俺は、人殺しだよ……)

それは、不幸な、不幸な出来事で……。
きっと消えない傷みたいに、この人はこれからもずっとそれを抱えていくんだろう。
死んでしまった、おともだちの分の人生を背負って。
私なんかが、いいとか、悪いとか、安易に何かいう事はいけない気がした。
きっとこの人も、そんなことを望んではいない。
でも……

背負うあなたと一緒に歩くくらいは、できるかもしれない……。

私は、膝立ちになり、彼の白い顔に手を伸ばして触れ、
思いのたけを込めてその頬に口付けた。、

見つめ合って……どちらからともなく、身を寄せて。
さっきまでの逡巡と動揺がうそのように、抱き合って。
強い力で苦しいほど抱きしめられて。
彼の体温を感じる幸せにギュッと目を閉じた。


***


手を繋いで部屋に戻った後、コーヒーでも入れようか、
と優雅に歩く彼を明るいところで改めて見て、
私の脳はようやく、事態を正しく理解しはじめた。

立ち居振る舞いも物腰も、敦賀さんだし、
いえもう本当、まごうことなき敦賀さんなんだけど、でも……。
キラキラと輝く金髪に、カラコンを外した本当の目の色は、
わりかしぜんぜん見慣れてはいない妖精王子で。

(敦賀さん……だけど、コーンで……でも、コーンは久遠さんで……)

(ちょっと待って、ちょっと待って、キョーコ、落ち着いて)

おそらくそんな私の動揺は、彼にはお見通しなんだろう、
チラリとこちらを見、何くわぬ顔でコーヒーを入れたカップを差し出すと、。
そのまま覗き込むようにして、低く囁いた。

「……はい、最上さん……――いや、キョーコちゃん…?」

うっっっ!?

そのまま、昼間コーンの顔で初めて見た、バレなきゃいいんじゃない?的な
悪そうな顔をして、したたるように、低く言う。

「……それとも、キョーコ?」

がっは!!?

「もう、そう呼んでいいんだよね?“敦賀さんの顔と声”でも」

ちょっと上目づかいで甘えるような声音で、そんなことを……。
そ、そんなのは、反則です……っ

(やっ、やっぱり、お仕置き的な何かに聞こえる……聞こえちゃう……)

ブルブルと動揺していると、

「キョーコは、金髪のオレは嫌い……?」

言われた瞬間、心筋梗塞で死ぬかと思った。
少し、敦賀さんの感じとも、コーンの感じとも違う、
初めて見るような雰囲気は、たぶん、これが、噂の久遠さんなんだろうか…………。

「は……いえ……いえっ……ただ、あの、あまりにも……その」

見慣れてなくて、でも、綺麗で。でも、ドキドキしてしまって、緊張してきた。
狼狽える私を見て面白がっているような、きれいな顔をして、
でもふいに可愛く笑うと、彼は「……じゃあ、ちょっとミス・ウッズの処に行ってくるから」と立ち上がった。

「もともとキミと合流する前にカインに戻る予定だったんだけど、
多分こういうチャンスがあるかなって思って、ウィッグで済ませてもらったんだ」

「なんでそんな二度手間するのって怒られちゃったけどね」

チャーミーにウインクされてボケっと見とれてしまいながら、
しかし今夜の一幕があらかじめ予定されていた計画的犯行と知る。

「キミがオレの事を好きだなんていうから悪い」

悪びれもせずそういうと彼はカインの衣裳から着替えたシャツの前を止めながら
私の髪に口付けた。

「それでも、全部ぶちまける覚悟は本物だったと、知っていてほしいな……」

真摯なひとみ。
心臓がよじれそうな、愛しさと。

「いますぐ黒髪に戻してくるから……そしたら、
そんなに人見知りしないで、もっと俺とイチャイチャしてね……?」

(……昼間のよりもっと……激しく?)

意味深に唇をつつかれて、5メートルくらい後ずさってしまった。

いえっ、あの、そもそも金髪とか、黒髪とか、そういうわけではなく!!

どこまでが、本気で、どこまでが、冗談なのか……。

愉快そうに笑いながら出かける人を見送って、
私は今すぐセツカにならねば、と、とにかく焦りまくるのだった。

胸に灯る、愛しさだけは、そのままに。





18:16  |  コねた集  |  Trackback(0)  |  Comment(6)

Comment

連続投稿に狂喜乱舞しております!

きゃー!数日で続きが!!
豚様、ありがとうございます~~!
微エロでもなんでも、蓮さんのあふれ出る色気に焦りまくりのキョコさんの描写が全くもってキョコさん過ぎてホントごちそうさまです←日本語崩壊中
霜月さうら |  2016.03.02(水) 19:28 | URL |  【編集】

キミとでーあーあぁたきーせーつがー ♪

こ の 胸に!! 溢 れ て る!!

こんにちわーい(ゴソゴソ)
なんか、ふと気づけば
けっこう木の花とか咲いてて春だねえー…

■本日の独り言
……とうらぶをはじめました。
ゲームを進める前に、やさしく親切にエスコートされた
MMDの二次沼に嵌りそうです。

誰 か タ ス ケ テ。

(ダイレクトメッセージ)
(豚!それをいうなら、ダイイングメッセージや!)
(コテコテですが真剣に間違えた)


■霜月さん、いとしの11月さん
わーい!!またいらしてくださって嬉しいっス!!
しかもお米までだと…!!あなたは神か!!けしからん!!←?

でも多分これ、ふつうでいうところの第一稿ですね…。
半分ぐらいにそぎ落とせば読めるものになると思うんですが、
ただ萌えたかった…!その魂の叫びが、
もはや留まるところを知らなかったのでした。

てか、うちにあるのはそんなんばっかだった。

今月はコミクス出るので嬉しいです!!!
豚 |  2016.03.03(木) 11:55 | URL |  【編集】

嬉ひぃです!!

_|\○_ヒャッ ε=\_○ノ ホーウ!!  ってなカンジでもっと踊り続けたいです~←
ヒョー㌦ |  2016.03.04(金) 00:31 | URL |  【編集】

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 |  2016.03.04(金) 09:04 |  |  【編集】

新しい朝が来た……(ズル……

希望の朝だ……(ズルル……

昨日からよし♯さんとスピッシとミス千ノレさんと
とーら部のMMDのやつが同時に脳内再生してるの
めっちゃシンドイからやめてほしい。


■ヒョー㌦㌦

踊るならば!! 脱 衣(クロスアウツ)は必須ですがよ!!

ピシー!!
ピシー!!

すき!!


■隠密の可愛いひと
上記事に質問を投げておきました!!
ガーターくんを気に入ってくださってありがとうなんだぜ!!

うちの敦賀くんはキョコたんの一挙一動にムラムラしてて、
ちょっとかわいそうだよね……←

……(首をかしげて)


で も、 原 作 も け っ こ う プツ・ツーッツーッ
豚 |  2016.03.04(金) 11:23 | URL |  【編集】

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